予測保全が半導体工場のメンテナンスをどのように変革するか ― お客様事例
欧州のウェーハメーカーが突発的なポンプ故障を大幅に削減
半導体製造工場は、高い安全性、品質、生産性、信頼性を維持することが求められます。サブファブの真空ポンプは、継続的な生産を支える重要な役割を担っています。これらのポンプが予期せず故障した場合、プロセス装置のダウンタイム増加、生産遅延、ウェーハ損失、メンテナンス費用の増加など、影響は深刻です。事後保全(リアクティブメンテナンス)や予防保全といった従来の保守手法も重要ですが、突発故障の防止という点では十分でない場合があります。
STMicroelectronics イタリア・カターニア工場
ウェーハ製造における真空ポンプのダウンタイムの防止
当社の欧州顧客の一つであるSTMicroelectronicsのカターニア主力工場は、アナログ半導体およびパワー半導体製造における高い技術力で知られています。同社は、イノベーションとオペレーショナルエクセレンスを重視する中で、多数の真空ポンプをより効率的に管理し、計画外停止リスクを低減する方法を模索していました。
同社が直面していた課題は、真空ポンプの予期せぬ故障によるプロセス装置の停止でした。この問題は生産を妨げ、コストを増加させ、保守リソースにも大きな負荷をかけていました。
事後対応型の修理であっても、定期的な予防保全であっても、計画外停止の削減や設備活用の最適化には十分な効果を発揮できていませんでした。
ポンプ故障を未然に検知
こうした課題に対応するため、STカターニア工場はエドワーズと提携し、真空ポンプからリアルタイムデータを収集・分析する予知保全プラットフォーム を導入しました。これにより、同工場は次のことを実現しました。
- 予知アルゴリズムによって、真空ポンプの異常を事前に予測。
- 故障リスクを最小化し、不必要な部品交換を削減するための適切な対策を実施。
予知保全への移行によって、STはポンプ稼働率、プロセス装置の可用性、そして運営効率をより高いレベルで管理できるようになりました。
導入プロセス
変革は一夜にして実現したものではありません。ST とエドワーズは、地域チームに加え、技術スペシャリストやデータサイエンティストの支援を受けながら共同でプロジェクトを開始しました。
その過程で、エドワーズのチームは設備群監視(フリートモニタリング)を活用し、一般的な故障モードの兆候を高精度で特定し、予知アクションを実装しました。エキスパート主導の分析によって、客観的かつデータに基づく意思決定が可能となり、事後保全の削減を実現しました。これらの成果を受け、ST は予知保全技術を活用して、予防保全実施前にポンプ状態を評価し、MTBPM(予防保全間平均稼働時間) の延長にも取り組みました。
この強力なコラボレーションにより、計画外の真空ダウンイベントの削減、是正保全作業の減少、 MTBPM の延長、プロセス装置の可用性向上が実現しました。
導入成果
- 過去 2年間で、計画外停止は 大幅に減少し、全交換作業のわずか10%にまで低下しました。導入初年度から2年目においては、工場は年間平均 10 回の是正保全 (CM) を実施しました。導入4年目から 5年目には、 年間平均あたりわずか 1.5件まで 削減され、そのうちの 1 つは外部要因によるものでした。
- 予防ポンプ交換を 50% 削減。設備利用率が導入前約 10,000 時間の MTBPM から導入 4年目以降には約 20,000 時間に改善され、予防保全による交換頻度を実質半減させることができました。
- 計画外交換と予防交換の両方が同時に減少しました。これは、保守戦略としては極めて稀な成果であり、予知保全の有効性を実証しています。
- 計画外停止の削減、保守計画の予測性向上、データに基づく先回り型保守判断によって大きなコスト削減も実現しました。
この成果は、予知保全がプロセス装置の稼働率向上、サブファブ運営効率の改善、設備活用の最適化に貢献するだけでなく、極めて複雑な製造環境にも展開可能であることを示しています。
お客様の声
私はEdCentraの可能性をいち早く信じ、あらゆる取り組みの推進と運営に携わりました。設備性能を最大限に引き出すことで、これまでにない稼働率を達成しました。また、データ主導の文化を組織に根付かせ、明確なビジョンが卓越した成果を生み出すことを証明しました。
予知保全の継続的な進化
革新的なソリューションを採用するためのビジョンと挑戦が、測定可能かつ持続的な成果を生み出しました。現在は、継続的改善を実現するためのアルゴリズム展開ロードマップにも合意しており、さらなる高度化を進めています。新しい予知保全プラットフォームの導入により、STは設備可用性のさらなる最大化に向けた体制を整えています。