フリーズドライ(凍結乾燥)は、真空下で製品を低温で乾燥させる脱水技術です。乾燥対象に含まれる水などの溶媒を蒸発させることにより除去します。真空下で行うことで、液相を通過することなく、低い温度で溶媒を蒸発させることができます。
凍結乾燥の大きな利点は、熱に弱い成分を保護し、対象の形状や大きさを保てることです。最終的な製品に溶媒が含まれない為、酸化や劣化、組成変化(遺伝的または酵素的)の影響を抑え、長期保存が可能になります。
凍結乾燥の工程
- 前処理
- 大気圧下で凍結(予備凍結)
- 真空下での一次乾燥(昇華)
- 真空下での二次乾燥(脱着)
一般的な前段階の凍結温度は、-40~-60℃の範囲です。
一次乾燥では、凍った液体が昇華のプロセスによって除去されます(直接、蒸気になります)。一次乾燥は、それぞれの製品の特性に応じて、通常1~100Paの圧力で行われます。凍結乾燥を効果的に行うには、製品の温度がコンデンサの温度よりも高くなければなりません。この温度差によって、圧力差が生じ、水蒸気分子は対象からコンデンサに向かって押し流されます。
対象が共晶点以上の温度になると、二次乾燥が始まります。この工程では、残りの液体が脱着されます。
脱着は、対象に変化が起こる直前に、棚の温度を許容最大値まで上昇させながら、圧力を約300~1,000Paまで下げることによって最適化されます。
フリーズドライシステムの構成
典型的な凍結乾燥装置は、以下の4つから構成されます。
- チャンバー
- 冷凍システム
- コンデンサ
- 真空ポンプ
チャンバー内の水蒸気・湿気は、コンデンサを通して除去されます。凍結乾燥工程の圧力は、真空ゲージ(通常はピラニマノメーターやキャパシタンスマノメーター)で測定されます。圧力測定の精度と再現性は、凍結乾燥の安定制御には不可欠な存在です。
真空ポンプの役割
棚式凍結乾燥機のポンプサイズは、棚面積に関係しますが、1 m²あたり50 m³/hの排気速度があれば、十分な性能を発揮します。
外部で凍結した製品を投入する凍結乾燥機では、過度の温度上昇や解凍を避けるため、チャンバー内を急速に排気する必要があります。大規模な凍結乾燥工程では、メカニカルブースターと油回転ポンプ、もしくは水封式ポンプ/蒸気エジェクターの組み合わせが一般的です。
医薬品では、溶剤や酸を含むものが増えており、ドライポンプを組み合わせることが一般的です。ドライポンプでは、溶剤や酸による油回転ポンプのオイル劣化による性能低下を克服する事が可能です。
ポンプの機種選定に必要な情報
- 製品情報
- 雰囲気に含まれる成分、温度(溶剤、水、気体)
- チャンバー容量(リットルまたは平方メートル)
- プラント容量(コンデンサーと配管を含む)
- チャンバーリーク率(既知の場合)
- 初期排気時間
- プロセス時間
- コンデンサ温度(最大負荷条件)
ポンプの一般的な問題
2段式のオイルシール式ロータリーポンプと低温コンデンサとの組み合わせで、水蒸気のみを排気する場合、ポンプは時間の経過と共に汚れが蓄積し、オイルが劣化します。凝縮性ガスの液化を防ぐ効果があるガスバラスト機能を有効にしても、限定的です。
そのため、ポンプの性能低下を防ぐ為には、高い頻度でのオイル交換が必要です。 医薬品・製剤には、水以外の様々な溶剤が含まれており、エタノール、メタノールなどが代表的です。これらの溶剤は、ポンプオイルを劣化させ、ポンプの焼付きが発生する危険性が高くなります。
このような場合、真空経路にオイルを使わないドライポンプが選択されています。
EDS300-EH2600 ケミカルドライポンプ
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