製鋼時の脱ガスにおいて蒸気エジェクターからメカニカル真空ポンプへの移行は積極的には進みませんでした。しかし現在、メカニカル真空ポンプは真空脱ガス(VD)や真空酸素脱炭設備(VOD)において最先端の技術となっています。
メカニカル真空ポンプが生産に適しているか懸念があるかもしれませんが、世界の製鋼市場では高い生産性を達成し、信頼を得ています。イニシャルコストは、ランニングコストの大幅な削減・ダウンタイムを削減することで回収可能です。二酸化炭素排出量の削減が見込め、カーボンニュートラルに向けた世界的な要求を満たす意味でも現代の製鋼プラントに最適です。
Ruhrstahi-Heraeus(RH)の場合、状況は若干異なります。システムで要求されるスペックは非常に大きく、生産は24時間年中無休で連続運転され、多くの場合に2台の脱ガスシステムに対応しています。RH処理された鋼材は通常、酸素炉から供給され、炉からのガスを冷却しながら副産物として蒸気を発生させます。この蒸気を処理可能で、低いプロセス圧力が要求されると、蒸気エジェクターが適しているのかもしれません。とはいえ、RHプロセス用のドライメカニカルポンプの市場は拡大しています。
メカニカル真空ポンプは、蒸気エジェクターに並び有効な選択肢の一つであり、2009年以降において生産現場で信頼性が証明されています。 変更の主な要因は、ランニングコストと二酸化炭素排出量の削減効果です。
VD(VOD)およびRuhrstahl-Heraeus(RH-OB)精製ステーションの系統図
二次冶金における真空処理の共通点は、低圧を利用して分圧を下げることにより、溶鋼から窒素や水素などの不純物を除去することです。この反応は、溶鋼の表面で行われ炭素を取り除く為に酸素を利用する事もあります。真空ポンプに要求される性能は、主にプロセスガスの流量によって決まりますが、攪拌用のアルゴン、カメラ保護ガス、酸素ブロー(適用される場合)などのサポートガス、精錬ステーションのリーク率によっても決まります。2番目のパラメータは、処理する圧力までの排気時間を短縮し、生産フローを維持する為に鋳造に適した溶鋼温度を維持し操業時間を短縮する事です。VD・VOD・RHの工程は幾つかの点で同様です。(図1)。プロセス時間は通常20分で、プロセス圧力は0.5 Torr(0.67mbar)、予想されるポンプダウンタイムは、空の容器またはタンクで5~6分です。パフォーマンス要件の主な違いは次のとおりです。
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